クリスマスにはXが潜んでいる

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「それこそ神のみぞ知るってやつだよ」 「そりゃそうだけど、もしもの話よ。キリストがフツーの人として生きていたとしたらさぁ。ええっと、なんだっけ?宗教戦争だっけ?そういうのもなかったんじゃない?日本でも天草四郎とかキリシタンってことだけで殺された人もいるし。そう考えたらさ。神なんて概念なんてあってしまうから、人は争うこともあるわけじゃん。キリストのせいでどれだけ人が死んだんだろうね。神の存在を信じるだけで殺される世の中なんて、たまんないよねぇ」 よくもまぁこんな聖なる夜に、こんな話題を振ってこれる。 ロマンの欠片もないじゃあないか。むしろ哲学? 「キリストが神じゃなかったとしても、他の神がいるからね。ブッタとかアッラーとか。多分その時は他の宗教が入り込んで、結局は同じことになるんじゃないかな」 「っていうかさぁ」と彼女が口を尖らせた。 「日本は仏教みたいに言ってるけどさ。仏教ってぶっちゃけ海外の教えじゃん。インド生まれのブッタさんのじゃん。この時点で信じる神すら日本のものじゃないんだよね。神様すら借り物なんだよ。日本の神は八百万の神ぐらいなもんかぁ。信仰が厚いとは言い難いよねぇ」 「どのみち君、宗教なんて興味ないだろ?」 「あはっ、バレちゃった?」 と可愛げに舌を出す。けれど酔いでまわる口は未だにアクセル全開だ。
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