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「でもさ。私は馬鹿だからよく分かんないんだけどさ。こんな祝い事の日にだってどっかの国じゃ子供は飢えてるだろうし、不慮の事故で死んでるだろうし、見えないところで不幸はあるわけよ。結局のところ、信仰する神がキリストだろうとブッタだろうとなんであろうと、祈って平和で救われるなんてあり得ないわけで。となるとキリストなんていう神様の生まれなんか祝った所で、何の意味があるのってたまに思うのよね。日本なんてキリスト教も仏教もどうでもいいじゃん。たまにおっかない宗教団体にいるやつはいるけどさ」
アクセル全開なのはいいんだけど、本当にこれXmasにカップルのする会話じゃあないよなぁという実感をヒシヒシと感じる。
そのうち事故ってあわや大惨事、なんてことにならないといいけど。
「要は口実なんだろうね。クリスマスという名の下に楽しめれば、祝う神なんて誰でもいいんだと思うよ」
という僕の言葉は本音だった。実際にそう感じる。
Xmasが特別だなんていうのは、なにか信仰心とかがあってのことじゃない。
ただ祭り事だからはしゃごうという、日本にとどまらず世界各地でもよくあるだろうノリでしかない。
でもそれが楽しくて、もう毎年の恒例行事になっているのだから、それに口を出すのも無粋というやつだ。
かくいう僕もこのXmasブームにのっかる一若者として、他人のことをいえた義理ではないのだ。
「じゃあ来年のXdayからは私の誕生を祝う祝日にしよう!」
「それなら僕が毎年祝ってあげるよ。誕生日も一緒にね」
彼女は子供っぽく陽気な声を上げた。
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