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「やった!でもほら、あまり無理しなくていいんだよ?私の誕生日、明日じゃん。クリスマスじゃん。こんな素敵なレストランまで予約してもらって、お金大丈夫?二夜連続して大変じゃない?」
と不安そうな顔を覗かせる。おいおい。
「なるほど。君の脳内に割り勘という言葉は存在しないわけだね」
「あったりまえです」
「まぁそんなつもりも毛頭ないけどね。クリスマスイブにケチっていたら、神様から見放されちゃうよ」
本当に変わっている。どうやら僕に彼女の思考回路を真に理解するということは、不可能なようだ。
けれど、胸の内のモヤモヤは晴れていた。
これでいいのだ。相手を理解出来ないということは、逆に言えばまだ見ぬ新しい面がその人にはあって、飽きることはないということなのだから。
ーーそんな君だから、僕は好きになったんだから。
共に感じていた身体を震わす凍てつく寒さはとうに消え、逆に鼓動があまりに高鳴りすぎて汗をかいてしまうほどだ。それを誤魔化すように、僕の口は語り出す。
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