大切なもの

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 月曜日、お昼休みになるや否やさやかと里美に捕まって連れてこられたのは、会社のビルに入っているレストランの一つ。夏帆はともかく何故だか愛香まで居て、同期女子が勢ぞろいしていた。 「翠! うちらに何か言う事あるでしょ?!」  里美の言葉に何も思い当たらない私が、きょとんとしてみんなを見回すと、ドンッと勢い良くさやかがコップを置いた。 「しらばっくれても無駄なんだよ、証拠はばっちりつかんであるんだから」  本当に、一体何の話なんだろうと首をかしげる私に、ニヤリと笑って里美が言う。 「翠ちゃん、土曜日の夜に電話に出たのはだぁれ?」  電話? 土曜日の夜? 全く心当たりが無くて首を傾げてしまう。 「電話ってなに?」 「何って。聞いてないの?!」 「聞いてないって何を?」 「えぇー。着信履歴、見てよ」  出鼻をくじかれたらしく、ちょっとテンションの下がったさやかに言われるまま、私は自分のスマホの着信履歴を開いてそして…思わず呟いてしまった。 「……何これ」  私のスマホの着信履歴にはずらりと10件以上もさやかと里美からの着信があったから。
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