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私の気持ちを確かめるように、先生の唇が私の唇に触れる。昔したキスは、攻め込まれる気がして怖くて堪らなかったのに、全然違った。
あんなに意地悪な質問を私にしたのに、啄むように重ねられる先生のキスはすごく優しい。耳元からそっと差し込まれた手が、頭を軽く支えてくれる。触れているのは唇なのに、優しく抱きしめられているような気がした。
「せんせ……好き」
さっきはあんなにも言えなかった言葉が、優しいキスから開放されるといとも簡単に零れ落ちた。
「俺、お前よりだいぶ年上だぞ。もう、35になるし」
あぁ、先生って35歳なんだ。思ったことはそれだけだった。12歳の年齢差は、何の抵抗もなく好きという気持ちの中に溶けるように飲み込まれて行く。
「先生がいい。先生じゃなきゃ、駄目なの」
他の人じゃ駄目なの。言葉にしたら、会えなかった間の寂しさが一気に押し寄せてくる。耳元にふっと先生の吐息が触れて、頭を抱き寄せられて、私の顔が先生の首筋に埋まる。
「ん、お前がいいならいいや」
優しく耳を擽るその声が、少し嬉しそうな響きを含んでいるような気がして、私も嬉しくなる。12歳も年上だとか、高校の教師と生徒だったとか、そんなのもうどうでもよかった。先生がいい。
先生の手で顎を掬われて、もう一度唇が触れ合った。
キスがこんなに気持ちいいなんて、今まで知らなかった。
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