変わるもの 変わらないもの

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 スマホがメッセージの着信を告げたので画面を開くと、夏帆だった。 『昨夜、会えたの?』 『うん。会えた』  返事を返すと、すぐさま返事が返ってきた。 『で?どうなったの?ちゃんと聞いた?』  どうなった? と言う答えを考えただけで、恥ずかしいやら照れくさいやらで頬が緩む。 『ちゃんと聞いた。それで、付き合うことになりました』  それを送るや否や、電話がかかってきた。 「もしもし」 「翠?! ホントに? マジで?」  夏帆らしからぬテンションに、夏帆の電話でさやかか里美が電話をかけてきたんじゃないかと錯覚してしまう。 「う、うん」 「きゃーっやだ、おめでとうっ!!」 「……えと、夏帆?」 「どしたの?」  返ってきた声は、紛れもなく夏帆の声。 「なんか、夏帆じゃないみたいだったから…」 「あ、そう? だって本気で心配だったし。翠に彼氏とかほんっとに意外だし。よかったね」 「……ありがとう」 「あ、ごめん。叫びすぎて竹原さんに怒られた」  電話先で夏帆が声を潜める。 「今、竹原さんの家?」 「うん。キャーキャーうるさいって」  仕方ないじゃんねーと言って笑う夏帆の声は本当に嬉しいと思ってくれてるのが伝わって来る。 「今日は? デートするの?」 「うん、もうすぐ迎えに来てくれる」 「じゃぁ電話切らないとね。デート、楽しんできてね」 「うん。夏帆、ありがとう」
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