変わるもの 変わらないもの

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 お昼ご飯を忘れるほどに、キスに没頭した私達が、さすがにお腹すいたねと早めの夕飯の相談を始めたのは、四時過ぎ頃だった。「有り合わせでよければ」と先生に言われた私は、あまりにも意外できょとんとして聞き返した。 「え?先生料理するの?」 「一人暮らし長いからな。お前より上手いかもな?」 「……そ、そんな下手じゃないもん!やればできるもん!」  余裕の表情でさらっと馬鹿にされたから言い返したけれど、正直自信はなかった。だって、私はずっと実家暮らしで、特に料理を手伝ったりもしていない。そんな私の強がりを見透かした先生がニヤリと笑う。 「へぇ?じゃぁ何か作ってくれんの?」  こんな挑発に乗ったのが間違いだった。  -5分後。私は先生に絆創膏を貼って貰っていた。 「お前、開始1分は酷すぎるだろ」  そんなの私だってそう思ってるもん。喉をならして笑う先生は、ちょっと拗ねてる私の人差し指に消毒液を垂らす。 「おー、スッパリやったな。血止まりにくそう」  それ以前に凄い痛くて本気で泣きたい、と心の中で泣き言を漏らす。先生の家の包丁は、今まで使ったどれよりも切れ味が良かった。 「あんなに切れる包丁初めて」 「あぁ、そっか。俺慣れてるから忘れてた。言っとけば良かったな」  言われてても切ったと思う、とこれまた心の中で言い返した。 「あと大人しくしてな。様子見て貼り替えろよ」
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