変わるもの 変わらないもの

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 先生が好きなのは、きっと高校生の頃の私だ。今の私なんて、しばらく一緒に居たってきっとつまらない。  つまらなくて……フラれちゃう? そう思うだけで、涙が滲んだ。 「昔の方が可愛かったなんて思うのは、無理してる証拠だろ。会社は学校みたいにうるさかないんだから、髪も服も好きにしろよ」  先生が小さくため息をつくのが聞こえた。 「泣かせようと、思ってるわけじゃないんだけどな」  先生の手が私の頭を抱き寄せて先生が呆れた様子でクスリと笑う。 「お前、泣きすぎ」  そう言われても、どうしても涙が溢れてしまっていた。先生に抱き寄せられるままに先生の胸に顔を埋めると、耳元で優しい声が響く。 「翠、ゆっくりでいいから。いきなり全部やろうとしなくていい。ちゃんと好きな事をしなさい。大事なものを、ちゃんと大事にしなさい」 「はい」  先生の言葉は、今の私には痛い位だった。最近毎晩のように泣いていたから、当たり前だけど涙が目に沁みて、目を擦る。そんな私の手首を先生の手が掴んだ瞬間。  ゾクリと悪寒がして思わず先生の手を振り払ってしまって、驚いた表情の先生と眼が合って、我に返った。
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