2955人が本棚に入れています
本棚に追加
『お前にもう用無いから』
私と先輩の終わりは一言のメールだった。こんなメールを見たら、そこには愛情なんて一欠もないのは一目瞭然だったのに、それでも私は、付き合っている間は先輩には好かれていた……と思いたかった。そう信じていたかった。
そうじゃないと、かわいそう過ぎたから。あんなになった私が、かわいそうだったから。
でも、やっとわかった。本当に、全然、全く、先輩と私の間に、一欠けらも、愛はなかったんだ。
瞼が熱くて、目を閉じたら熱い涙が頬に落ちた。
「また泣いてる」
泣いていることを気づかれないようにしているつもりだったのに、なんでばれるんだろう。
「……泣いてないもん」
出てきた声があまりにも涙声で、自分でもあまりにも酷い嘘だと思う。それでも先生はくすっと笑っただけで、強がって顔を上げない私の頬に落ちた涙を拭って、それ以上は何も言わずに、ぎゅうっと強く抱きしめてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!