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どうやらいい感じになって来ていた人に彼女が居るのが昨日発覚したらしい。この間の同期の飲み会の時に、嬉しそうに話していた人なのだろうと思うと可哀想で、かける言葉を探すけれど、恋愛経験の乏しい私にはどんな言葉が良いのかわからずにただ聞き役に回っていた。
「さやか、荒れてんね」
既に目が据わっているさやかに、ソファに座りながら愛香は苦笑い。まだまだ飲むよと息巻くさやかを横目に他の4人で相談をして、結局さやかを宥めすかして漸く静かになった。
「だって、酷い。彼女居るとか言ってなかったのに」
ブーツを脱いで、ソファの上で膝を抱えたさやかは、膝に顔をうずめてぐすっと鼻を啜った。
「大丈夫だから。あんたがいい子なのみんな知ってっから」
愛香がさやかの頭をなでなでと撫でる。確かにさやかは、ちょっとテンションが高いけどいい子だ。さやかは友達が沢山居て、いつも飲み会に行っていて、私から見たら本当に羨ましい位の交友関係がある。
「普段のテンションで飲み会行けばいいじゃん。飲むと駄目ならお酒ちょっと控えてみるとか」
「だって、やなんだもん。自分が幹事した飲み会でノリが悪くてつまんなかったって言われるの絶対ヤなんだもん。絶対楽しくしたいし、絶対可愛い子も連れて行きたいんだもん」
拗ねたさやかに愛香が苦笑する。
「あんた、それで毎回自分が面白いキャラに落ち着いてたら駄目でしょう」
愛香の言葉に里美も夏帆も頷いていて、さやかはため息をつきながらテーブルに突っ伏する。
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