アイノコトバ

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 先生の言葉を聞いて、藍に言われた事を、思い出した。 『お姉はさー、昔っから要領悪いよねー。お母さんになんか頼むのもタイミング悪いって言うかさ。遠慮して言いそびれたりとかさ』  お母さんにだけじゃない。きっと、先生にも…友達にも…話したらいいことを言えないでいた。私が何も言わないから…先生は余計に気を使ってくれるんだ。 「違うの……違うの」 「違う?」 「違うの…。そん……とな……の。もっと……たいの」 「ごめん、聞こえない」  ごしごしと目を擦って、何度か深呼吸をして息を整える。 「あのね……ぎゅってしたいの。キスもしたいの。先生は大丈夫になったらでいいって言ってくれたけど…でも、私……大丈夫ってよくわかんなくて」 「うん」  答えてくれる先生の顔を見られなかった。先生は凄く優しいのに。凄く私に気を使ってくれてるって、わかってるのに。それなのに私は、そんな先生に大丈夫ときちんと言うことすら出来ないのだから。 「絶対大丈夫って、言える自信全然なくて……。でも……先生となら大丈夫だといいなって……思うの。ちゃんと……できたらいいなって」  言い終わる前に、私の身体は強く引っ張られた。
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