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後頭部を抑える、大きな手。背中に触れる腕の感触。頬をくすぐる先生の髪。大好きな先生の匂い。抱きしめられたあったかい胸。迷わないで先生の背中に腕を回してしがみついた。
先生の吐息が耳をくすぐる。今度のそれは、安堵の吐息のように優しく感じられて、その後に囁くような先生の声。
「翠、最後の、もっかい言って」
恥ずかしくてためらってると、耳元でもう一度囁かれる。
「聞き間違いだといやだから…もう一回言って」
「先生と……はぅ、はずかし……」
あまりの恥ずかしさに先生の肩に顔を埋めてしまう。そんな私の耳元で先生はクスクス笑う。
「聞かせて」
私の髪を撫でながら囁くようにいう声音は、嬉しそうな笑みを含んでいる。絶対、ちゃんと聞いてたくせに。
「先生、意地悪」
小さく漏らすと、ふっと先生が笑う。
「言わなきゃ ちゅーしてやんない」
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