アイノコトバ

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 そのはずだったのに。ベッドの中でとめどなく話をして、お互いに我慢してた分たくさん抱き合ってキスをしていたら、気づいたらそういう事になっていた。  だって先生が息もつけないくらいにキスするから。優しく身体を触ってくれるから。自分でもびっくりするような甘い声が出た。 「翠、怖い?」  先生の手が、頬を撫でて耳元を優しく擽る。 「怖くない……って言いたい」  今の私に出来る精一杯の強がりな答えに、先生がクスッと笑った。 「正直だな」 「だって……っ」  私のささやかな言い訳は、先生のキスに呑まれて消えて行った。  本当は、不安でいっぱいだった。でも、このままできたらいいなっていう気持ちもやっぱり確かにあって。その気持ちを先生が何度もくれるキスが後押ししてくれる。 「あ、先生」  私の声に、先生は手を止めた。 「ん? やっぱやめるか?」  先生の声は優しかった。無理しないよ、と言ってくれる。でも言いたいことはそれじゃなかった。 「え、ううん。大丈夫。えと、あのね……私、手首掴まれるのすごく苦手、かも」  どうしてかはよく判らなかったけど、どうも苦手みたいだった。また途中で急に怖くなってしまうのは嫌だから、伝えておきたかった。  先生は優しいけれどどこか物憂げに微笑して私の髪を撫でて短く答えてくれた。 「了解」  暖かくて先生の匂いに包まれるベッドの中、包み込むように感じる先生の身体の重み。何度もキスを重ねながら、指を絡めるようにしっかりと手を繋いだ。
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