アイノコトバ

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 目が覚めたものの、あまりの身体の重さに視線だけをぼんやりと窓辺に向けるとカーテン越しに窓から入ってくる光は朝のものとは角度が全く違った。お昼頃になっているなら早く起きないとと体を起こそうとしたものの、腕に力が入らなくて起き上がる事すら出来ずにそのままベッドに崩れ落ちてしまう。  そんな私の視界に微かに入っていた先生の腕が動いて、私の身体を力強く抱き寄せる。私の背中に触れる先生の肌の感触が、昨夜の出来事が夢ではないのだと教えてくれた。 「ごめん、無理させたな」  すぐ耳元で聞こえてきた優しい声に、首を横に振った。そんなことない。凄く優しく抱いてくれた。  私はいざとなったらすっかり怯えてしまったのに。私の記憶の中のあの行為は、無力感と絶望感の中で痛みと異物感に耐えて、ただひたすらに早く終わることを願う時間でしかなかったから。  それでも先生は、たくさん時間をかけて私の不安を取り除きながら抱いてくれた。言葉はないのに「好き」とたくさんたくさん……言われた気がした。先生に抱かれるのは、私の記憶の中のあの行為とは全く違った。先生とするのは、間違いなく恋人同士の、最上級の愛情確認だった。
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