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帰ってきた! そう思って見つめている中、ドアが開く。
「せんせ、おそいー」
「なんだそのツラ」
新島は翠を見るなりそう言って苦笑した。
「あんまぶーたれてるとそれで顔固まるぞ」
「だってぇ」
翠はそれでも不満げに頬を膨らませて新島を睨んだ。まだ男の人と付き合おうとか、誰かと仲良くしようとかそんな気持ちはどこにも無い。それなのに、大輔と一緒に帰るのが翠にとっては拷問の様ですらあった。
先生なら平気なのに。そう思うと尚更新島が教師なのが余計に腹立たしく感じられた。
そんな翠の気持ちを他所に、新島がいつも使う机の上においてある四つ折りになっている紙を開いて、新島は口元に笑みを浮かべた。
「ま、俺が見てやったんだから当然だな」
ぽんっと頭の上に帰って来たその紙を翠は広げた。
ホントは昨日一番に見せに来たかった。
クラスで最高点だった翠の化学のテスト。成り行きで大輔と帰ることになったせいでここに来られなかったのが一番の不満だった。
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