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「ねぇ、せんせ。7組の渡辺君って知ってる?」
「渡辺?」
「サッカー部の、渡辺君」
「部活いわれてもわからん。んー、二年の渡辺……渡辺」
「サッカー部の渡辺 大輔君」
翠は不満そうに口を尖らせながらフルネームを告げたが、新島は相変わらずはっきりと一致していないらしく、怪訝そうに眉をひそめたまま。
「ねーぇ、渡辺君ってどんな人?」
「は?」
どんな人ってどういう意味だ?と新島は怪訝そうに翠を見る。
「7組だから物理取ってるはずだもん」
「んー、これと言って特筆事項を記憶していない」
新島はちらりと翠を見て続ける。
「まぁ、覚えて無いって事は特に優秀でも、お前みたいにアホでも無いって事だな」
にやりと口元に笑みを浮かべて結ばれた新島の答えに、あぁと少し納得しかけて翠は軽く新島を睨んだ。
「なんか酷いこといわれた気がするぅ」
「で、そいつがどうしたんだ?」
「だって」
翠は不満げに口を尖らせて新島を見る。
「なんか告られそうなんだもん」
ベシッと机の上にあった薄っぺらい物理の問題集で頭を叩かれた。もちろん痛くはないけれど。
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