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「初めて見た!! 超かわい~」
「……可愛いか?間抜け面だろ」
「可愛いよぉ。いいなぁ、欲しかった」
翠がそう言うと、少し新島が呆れたような表情を見せる。
「欲しかったって。あんなん家じゃ使わないだろ」
「えー、部屋に居たら可愛いじゃん! せんせ、要らないならちょうだい?」
「なんでだよ。ここで使うから連れてきたっつーの。それより、北川、机に乗るな。見えてるぞ」
「!!!」
慌てて実験台から降りた翠を、新島がにやりと笑う。
「どうせ見せてくれんなら、もうちょい色気出せよ」
「せんせの馬鹿っ」
「生憎、お前よりは頭良いぞ」
笑って言われて翠は尚更口を尖らせる。中にショートパンツを履いているから見られても大丈夫だけど、色気が無いと言われるのは何となく心外。だけどパンツを見せたかったかと言えばそれも違う。
不満なのは、新島の対応だ。もうちょっとさ、なんかさ、表情がある指摘の仕方したっていいじゃない。全く女の子扱いされていないような気がする。
不満に口を尖らせたまま、翠は猫型冷温庫の前にしゃがみ込んで、なでなでと頭を撫でてみる。撫でたからと言って何かあるわけじゃないけれど、もっちりして柔らかそうな形をしているのに、つるっとしたプラスチックの感触なのが少し残念だった。
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