落ちてくる空

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 部活が終わる時間に大輔からメールをもらって、翠は不満タラタラで帰り支度を始めた。 「もうくんなよ。明日は入れてやらないからな」 「せんせの意地悪」  翠は口を尖らせて新島を睨んだ。  でも新島はきっと口ではそういっても明日も来たら入れてくれる。そう思うのは眼鏡の奥の新島の目が少し優しいから。 「せんせ」 「ん?」 「あたし、せんせのこと好きだよ」 「俺ロリコン趣味無いわ」  全く動じた様子もなくあっさりと言い返されて翠は口を尖らせた。 「そういう意味じゃなくてぇー!」 「ほら、仕事の邪魔だからさっさと帰れ」  問題集を見てばかりで全然翠の方を見ずに言う新島に翠は頬を膨らませた。いつもは邪魔とか言わないくせに。大輔と一緒に帰るようになってからの新島は、とても冷たい。前はこんなに帰れとか邪魔とか言わなかったのに。 「もうっ 明日も来るからね!!」  翠は不機嫌にそういって物理実験準備室のドアを開けた。出て行く前にちらりと振り返ると、新島は翠のほうを見ずに手だけ振ってくれていた。
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