落ちてくる空

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「だから、翠にOKもらえてマジで嬉しい」 「……」  翠は何も答えられなくて、大輔から目をそらした。 「ご、ごめん。こんなん言われても困るよね」  あはは、と笑って大輔は翠の手の存在を確かめるように翠の手を握ってから、翠の様子を伺うように切り出した。 「翠、今日部活休みだった?」 「な……なんで?」  もしかして、部活辞めたことバレたのかと翠はドキドキしながら問い返した。 「あ、いや。部活中に翠に似た子見たから。遠目だったし制服着てたから、人違いかもなんだけど」 「そ……そっか。人違い……じゃないかな」  あたし、今日部活行ったし……と余所余所しく目をそらしながら小さな声で答えるのが、今の翠に出来る精一杯だった。
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