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エレベーターで2階まで下りて、ビルの中に入っているコンビニに寄って適当なサンドイッチに手を伸ばす。レジに向かう途中、スイーツの棚の前で足を止めた。
『食って元気だしな』
記憶の彼方から響いてくるのは、ここにはいない人の声。誘われるように手を伸ばしたのは、生クリームが乗ったプリンだった。
今日は甘えてもいいよね…?
思い出すのは、夢の中で頭をくしゃりと優しく撫でてくれた大きな手のリアルな感触。
「翠、それ好きだよね」
「…うん、好き…かな」
プリンを手にしてぼーっとしていた私のすぐ傍らに、いつの間にかさやかが立っていた。このプリンは好き。だけど、純粋に味が好きというのとは、ちょっと違う。
好きなのは…昔これを買ってくれた人。
もう7年も前になるのに、こんな風に並んでいるのを見かけただけであの時の素っ気無いけど優しい声を思い出すほどに、好きだった。
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