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大丈夫? と聞かれても翠はどう返信したものか考えあぐねていた。大丈夫じゃない。だからと言って大丈夫じゃない理由も言えない。
なんか……、なんか考えるのめんどくさくなってきちゃった……
先生が手紙見てくれたかもわかんないし。
翠は携帯を枕元にポイッと放ってベッドに転がった。
翠がHR直後に置いていった手紙は無くなっていたけれど、それを新島がちゃんと見たのか、それにどんな対応をするつもりなのか、判らなかった。別れ際に聞こうと思っていたのに、いざ車に乗ったら大輔にどう話そうかという事が頭をぐるぐると巡って、すっかり聞きそびれてしまったのだ。
「お姉ー、プリン食べるー?」
階下からのんきな藍の声が響いてきて、プリンの言葉にちょっと心が浮かれた。
おなか、少しすいてきたかも。
藍に返事をする元気はまだなかったけれど、ベッドから重たい身体を起こす。鏡を見るとお風呂でのマッサージが効いたのか、目の腫れはかなり引いていた。これなら母親にも妹にも怪しまれないだろう。とりあえず、考えたくないことは今は考えない事にしよう。翠はそう思いながら部屋を出た。
プリンを食べて部屋に戻ってきた翠は届いていたメールに思わず笑みを溢して携帯を抱き締めた。
『用があるなら電話にしろ。新島』
声が聞こえてきそうなほど新島らしくて素っ気ないメールなのに、なぜか凄く嬉しくて携帯を抱き締めたまま翠はベッドにダイブした。
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