第十六章 過去の記憶

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広間には幹部とその真ん中に見覚えのある人物が座っていた。 「…歩…兄さん。」 私はその人物の名前を呼ぶ。 「久しぶりだね、奏。」 歩兄さんはそう言ってにっこりと微笑む。 「歩って言ったか。奏に会って何の用だ?」 「迎えに来たんですよ。大切な妹をね。」 「迎えに?」 「あぁ。この前は悪かった。俺は今天馬家と共にいる。俺とお前は正真正銘の兄妹。そこにいる…まがいの兄とは違ってね。」 私と歩が本当の兄妹で冬夜兄さんが? 「冬夜、今のお前には記憶がない。だから詳しいことは話さない。」 「俺に記憶が?」 一体どういうこと…。
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