15人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺……ダメだな。…そういうのめちゃくちゃ鈍くてよ…。
なんか…いつもお前に嫌な思いばっかさせちまって……」
抱きしめられてるから、雨京から赤音の表情は見えない。
……見えないはずなのに、わかってしまう。
あまりにも真剣に、泣きそうなくらい、自分が愛する雨京を少しでも傷つけてしまった事への後悔の声。
不甲斐なさ。情けなさ。
そんな赤音の全力の謝罪の想いが、きつく抱きしめられた腕から、体温から、吐息から染み込むほどに伝わってくる。
「俺……お前以外、見てねぇ。
本当に、浮気とか目移りとか、絶対誓ってあり得ねぇのに……ごめん…」
「これからは、マジ、気をつけるからよ。…――今回だけは、勘弁してくんねぇか…?」
「愛してるんだ。…雨京」
【殺し文句】だ。
こんな全面的に、全力で謝られては、流石の雨京も真っ赤になって、許さざるおえないっ…てものだ。
素直すぎて…
本当に……
「……………もう…」
「仕方のない、お人やなぁ……」
言葉とは裏腹に、恥ずかしさと幸せで、雨京は胸が締め付けられるようだった。
あかんわ……
僕は……この人には勝てへん……
ううん……勝たんでええ……。僕は…もう…
「おーーい★」
その時、突然に、呆れたような間延びした声が響いた。
最初のコメントを投稿しよう!