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「そこの完全“トリップ”しちゃってるお二人さーーん。
ここが仕事場……GANSA中央管理部室だって、わかってるぅ~~?」
金髪を揺らして、半開きな、いかにもタルそうな目で
雑誌を丸めてメガホンがわりにした貴邑教官が、嫌みったらしく二人に割り込んできたのだ。
「あっ……」
もはや遅し。
管理部室の大勢の職員達に、ニヤニヤされ、苦笑され、すでに注目の的だ。
二人は滅茶苦茶恥ずかしいことになっている事態にやっと気づいて、あわてて体を離した。
「やべ…! すいません!! 目に入ってませんでした!」
のろけ100%。
夜織 官九郎局長は、とりあえずなんとかこの場をしのごうと、大声で笑いつつ、顔の前で両手を左右に振った。
「いっ……いやいやいやいや! いいんだ! 気にするな! 情報局(うち)は心が広いからな!
任務さえしっかりこなしてくれれば、プライベートには干渉せん……」
赤くなって苦笑する官九郎の横で、貴邑がすかさずツッコミを入れた。
「本音は『コノヤロー、羨ましいぞ! 一晩貸せ!!』」
「貴邑ぁっ!!! き・さ・ま~~ぁ!!!」
「自分に正直に生きよーぜぇ? カンクロー。 ムカついてんだろ? ムカつくよなぁ~デビューしたてのガキが色気づきやがってよぉ~~、堂々と~~」
再び、同期漫才に突入。
つきあってられるか。
と、ばかりに、当の赤音と雨京は仲良く連れだって
漫才コンビに背を向け、すたすたと正面出入口へ歩いて行ってしまった。
「それじゃ俺達はこれで」
「お疲れさんどす」
「おいおい!! こら!! ちょっと待て!! てめーら!! 特に『赤音』!!」
すかさず、貴邑が怒鳴り散らした。
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