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さてさて――
今日も今日とて、浄魔導士は忙しい。
『GANSA』の転送装置を使って、霊査レーダーに反応した【怨霊】出現現場へと、日本全国飛び回っている。
巨大な情報局の最重要な一室である、《中央管理部室》の正面デスクで、食い入るように、現地カメラの画面を眺めていた、情報局局長は
画面から流れるコンピューターの音声に、ようやくホッと胸を撫で下ろしていた。
『――都内N区 202ポイント――推定死後【千年級(クラス)怨霊体】……』
『《浄魔 完了》』
Pi--と機械的な音と共に、画面が消え、闇色に還る。
「……やれやれ…。無事、終わってくれたか。」
局長、官九郎は、オールバックの長い髪を揺らし、どっかりと疲れたように、重厚な皮張りのチェアにその身を沈めた。
その局長のデスクの前に来客用のソファセットがある。
官九郎は、さっきからそこの長椅子でのんびり体を伸ばしきって寝ている、いかにも怪しげな金髪メガネの男を、ジロリと睨み付けた。
「まったく……。これ以上、胃が荒れまくったら“おまえ”のせいだな。……おい!!
おい!!こら!! いい加減起きんか! 貴邑(きむら)!!」
「~~ん~~~…ムニャ…」
完璧に寝ていたといわんばかりの寝ぼけまなこで、いかにもタルそうに、やっと起き上がった『貴邑 陽丞(きむら ようすけ)』が
更にタルそうに呟いた。
「あ……?ふぁ……。あー…、なんだ。もう終わったのか」
「ああ。とても《初仕事》とは思えん見事な浄魔だ。
やはり教官が【アレ】だと、生徒の方がしっかりするのだろうな。
なあ? 《貴邑教官》」
官九郎は嫌味と皮肉たっぷりの口調で、ふっとわざとらしく唇の端をあげてみせた。
《キャラクター》
●GANSA局長
『夜織 官九郎(よしき かんくろう)』
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