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唐突に、それは訪れた。
「ふあ~、おはよ~」
人々はただ日常を過ごしていた。
「おはよー。日曜なのに早いわね?」
「ああ、なんか目が覚めてな」
「ふふ、矢でも降ってきそうね」
「そんなに言うことかい?」
いつも通りの朝食。
いつも通りの雑談。
この男もいつも通り、居間のテレビをつけた。
ただ違ったのは、三十分ほど早起きしたこと。いつもとは違う番組をつけたことだった。
『き、緊急ニュースです!』
「あ?」
朝から、それも休日にキャスターが慌てるほどのニュースなど、男は見たくなかった。
カチカチと、リモコンを操作してチャンネルを変えてはみるが、どれも同じキャスターを映すばかりだ。
諦めて妻の淹れた安物のコーヒーを口に含む。
いつも通りの安っぽい苦味と、少しの酸味が舌を刺激した。
『たった今宇宙情報局より入った情報によりますと、巨大な、い、隕石が地球に衝突するとのことです!』
男はポカンと口を開けて、妻に言った。
「矢よりとんでも無いものが降るぞ~」
「え?」
「隕石が来るんだってさ」
「へえ~。よく分かったわねぇ」
「ニュースだよニュース」
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