にがくてしょっぱい

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蓮を見送ったとも等。 あまりに憔悴しきったともを少しでも元気づけるべく、駅前のカフェに立ちよった。 「それにしても!!さっきの、ドラマみたいだった!!」 キイはやや頬を染め目を輝かせた。 「ドラマって何が」 「そりゃー、ともちゃんとれんれんに決まってるでしょ、蒼ちゃん!去り際のキス!あれ、最高!」 「まー、こんだけの美女と、認めたくねぇけどカッコいい蓮だもんな。絵になってた」 「だよねー!?ケンちゃん、わかってるー!」 「……あれ……リアルなんだけど」 ともは死んだような顔をふいにをあげ、キイを見た。 「わわっごめん!でも、凄く忘れられない出来事だったでしょ?」 「うん」 「そういうのって、時にドラマっぽいんだなって思ったんだ」 人差し指を立てるキイに、無理やり口元を持ち上げるとも。 その表情は決して笑ってるとは言い難い。 「確かに、ドラマよりドラマだったな」 顎に手をあて眉をやや寄せつつも、心配そうにともを見た蒼は軽くため息を吐いた。 「よしよし、ともチャン。良く頑張った」 「ケン……」 ケンは運ばれてきたケーキをフォークで掬い、ともの口元に持って行く。 「ほら、あーん」 躊躇いもせずパクリと口に入れたともだったが、軽く眉を寄せた。 「……しょっぱい」 「泣きすぎだ、」 ぽん、蒼はともの頭に手を置いてやや強く撫でると、漸く少しだけともは口元を緩めた。 「甘いもん食って元気出せよ。俺心配だわ」 ケンは自分が頼んだ方のケーキを掬い、ともに食べさせると切なそうに顔をゆがめた。 「……にがい」 「あー今のともには抹茶味はちょっと苦かったか」 「なんか、ケーキが美味しくない」 ともはそう言うと、ケンの肩におでこをあてた。 「ケンちゃん、どうしよう。ケーキが美味しく感じないよ」 「ともにケンちゃんなんて呼ばれるのも、なかなかいいじゃねぇの」 言いつつケンがともの頭を撫でる横で、タケが眉をグッと寄せた。 「その調子じゃ、メシも食えなさそうだな」 「ともちゃん、それ以上痩せたらどうしよう」 「だな。蓮のヤツ気付いてたのか?コイツ最近目に見えて痩せてただろ」 「蓮に限って気付かない訳ないだろ」 タケがそう言うと、ともは漸くケンの肩から顔をあげた。
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