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手を繋いだままずっと歩いてた。
人が、なんて呟いただけで、俺の手を握る手がぎゅっと力を込めて、絶対に離さないって断言してくれる。
これってヤキモチ?
そう尋ねたら、違うって、ヤキモチじゃなくて、嫉妬って言われて、怒られてるのに、不謹慎にもきゅんとしてしまった。
宗太さんに相談してたんだ。
自分自身の進路も全然考えてなくて、でも幸太はそういうしっかり考えてて、正直、置いていかれてる気がして、寂しかったんだ。
なんでも話聞いてくれるから、つい、甘えて頼っちゃった。
幸太が海外に行ちゃうってこと、隠してるから。進路のこと話してくれないから。
切なくて、きゅんとして、痛くて、甘くて、胸の中がごちゃごちゃだったけど、幸太の手が力強く俺を捕まえていてくれるから、何も考えず、そのまま全部を話した。
ぽつり、ぽつり
って話してたら、幸太の家に着いてた。
「チャリは?」
「カゴ、買ってから」
「あ、じゃあ、カゴ」
「その前にこっち」
第一印象の幸太みたい。
少し無口で、切れ長の黒い瞳がクールでカッコいい。
驚いている俺をかまわずに、ずっと繋いだままだった手で強引に家の中へと招く。
「あの……」
まだ、幸太の親は帰って来ていない。誰の気配もしない家。
「ごめん、晴」
「え?」
何? 何に謝ってんの? 怒ってるのに謝るって、もしかして、俺、呆れられた? ビビりつつ顔を上げた瞬間――
「んっ……」
齧り付くようにキスされた。
今まで、幸太とけっこうな回数、キスしたと思うけど、そのどれとも違う。濃厚で深いキスに失神しそう。
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