第1章

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『玲子も受付してるんだよ』と志乃が言う。 『私の会社は細々とやってるんで・・・』 と仕事の話を続けるのが面倒だったので、私は話を切った。 私のとなりの席の智之が小声で話しかけてくる。 『つまんないの?』 『違います。あなたこそ話に加わらないじゃないですか』 と私が返すと、視線を感じた智之が前を向く。 アキラが智之に目で合図をし、ふたりが席を立った。 『ツレションですか?』とユウキが言う。 『作戦会議だよ』とアキラが言い、智之とトイレに向かった。 ふたりが不在にしている時は、ユウキが場をしきっていた。 『誰かひとり暮らししている人いないの?』とユウキが聞くと、 『私だけひとり暮らし』と典子が小さく手をあげて言う。 部屋が錦糸町で狭い部屋なんだと自虐的に話した。 『みなさんは一人暮らしなんですか』と聞いてみると 『ひとり暮らしは永瀬さんだけ・・・だな』とユウキが答えた。 その後、住んでいる場所の話になり、 永瀬は月島、智之は調布、ユウキは中目黒だと言っていた。 アキラが中野に住んでいると聞いた志乃は近所かもしれないと 場所を詳しく聞きたがっていたが、 本人が作戦会議でいないので、 よく分からずにこの会話は終わってしまった。 『車は持ってるんですか?』と典子が聞く。 『俺は親の乗ってる。最近、アキラさんは車買い替えたらしいよ』 とユウキが言った後に飲み物を口に運んだ。 しばらくして、「作戦会議」のふたりが話をしながら席に戻ってきた。
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