第1章 始まりの日

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清々しい空気、温かな太陽の光が白い校舎を眩しく照らす。 真新しい制服に身を包んだ、初々しい新入生達が、 元気に挨拶しながら通り過ぎて行く。 そんな中、わたし、宮藤清花(くどうさやか)は激しく 暗かった。 今日はわたしが高校2年に進級した、最初の登校日。 あくまでわたしの初日であって、皆はそうではない。 その事が、わたしの気分を落ち込ませているのだ。 「はあ……」 「清花、もう何回目の溜息だ。いい加減諦めたまえ。 係り決めの日に、休んだ君が悪いんだよ」 親友の麗(うらら)が、手を振って通り過ぎて行くファンに、 笑顔を振りまきながら、容赦なくわたしを打ちのめす。 「だって、よりによって風紀委員だなんて!」 「それは仕方がないというものだ。選出は全て公平に 行われた。こうなったのは君の運の無さだ」 「それは解っているんだけどね、理解はしても 感情が追いつかない訳よ」 言っても仕方がない愚痴を零した。
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