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「っっ…!?」
ローランの刀が少女に当たる寸前。少女が光を放ちはじめた
「ほらね…私は死ねないの」
少女が無感情で騙る
刀が動かない…
「クソがっ…!」
力任せに押し切ろうと堅く握り手に力を込める
だが
「いっ…!」
ローランの手首に激痛が走る
「そろそろ…止めた方がいいわ…貴男の腕が使い物にならなくなってしまう…」
「ぐ…!」
ローランは歯を食い縛る
「殺して…やらぁ!」
「ドォン!!」
爆発音が響く
「くっ…ははっ…他愛もない…」
ローランは手応えのあった右手を見る
そこには…何もなかった
少女も、刀も……ローランの手も……
「ぐぁぁっ!?」
ローランの脳は何が起きたか理解出来なかった
ただ肩に走る激痛
「だから…言ったのに…」
少女はローランの後ろに立っていた。
鎖は解け、髪が伸びていた少女はくるりとローランに背を向けた
「また…死ねないの」
ローランは…初の黒星だった…
生まれて初めての…
「クソがっ…クソがぁ…」
右肩からは血が絶え間なく流れ落ちている
赤い軍服がさらに…深紅へ…
「待ちやがれ…てめ…」
「まだ…やるの?」
少女が振り返る
少女の顔は「自業自得…私は何もしてない貴男が勝手に負けたんじゃない」そう言っているようだった
ローランはその顔に更に腹が立った
「貴男も…殺してくれないのね…」
少女はローランの目の前に立っていた
「うっせぇ…殺すったら殺すんだよ!!」
ローランは叫ぶが実際は彼もよくわかっていなかった
ただただ悔しい
その感情が彼を支配していた
「悔しい…の?」
「あァ?…悔しいの?」
一呼吸
「ったりめぇだ!」
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