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アリアが手で僕を示して言った。
「青波京壱、異能力は【操炎】だ。京壱、簡単に言うとミコトは戦闘に特化していて、ルトは先程の通り分析、ナツメは異能力を止められて、カイは人や異端士の傷や病をある程度回復させられる。こんなところだ。」
ナツメがその場でくるりとターンし、微笑する。
「そしてあたしたちは、その異能力を生かして探偵をやってるの。ほら、門のところに板があったでしょ?姉様は魔術を心得てるし。」
僕はもう一度門の前に立った時のことを思い出した。板には、白い文字で「童話魔術探偵アリア 事件受け付けます」と書かれていた筈だ。
「童話……って?」
「聞いてないのかい?」
即座に、しかも不思議そうにルトが問う。僕は何を問われているのか分からなかった。
「アリアさんは無名の童話作家が書いた少女の実現化されたものなんだ。人の願いは、何らかの形で結ばれさえすれば後々叶うことをも十分あり得るからね。―――――つまりはね、京壱くん。アリアさんは、生身の人間じゃない。だから、さっきのサングラスの男みたく欲にまみれた人間がアリアさんのような異能力をもち、魔術を心得る有能な異端士を連れ去って自分たちのものにしようとするんだ。しかもそれは、僕達も例外じゃない。だから僕達は容易に人前で異能力を使ってはいけないんだよ。覚えておいて。」
淡々と、深刻な表情でルトは言った。
「あの男は……何者なんだ?」
「異端士保全団体……そう名乗っているが、実際は異端士を確保して惨殺したり、異能力だけをコピーして売り飛ばしたりするただの悪徳団体だ。」
アリアがドレスの裾を手で軽く払いちらりと時計を見ながら言った。
「なにか約束でも?」
僕が問うと、アリアは真顔で答えた。
「依頼がきているんだ。3時にここに来る約束をしている。」
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