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まさか自分と同い年くらいの人間に説教されるとは思ってなかったので、さらに激昂する。「先公みテェに偉そうにするんじゃねぇんだよ!!!!」と叫びながら蘭都に掴みかかろうとした、しかし蘭都はその手をいなし、背負い投げを決めた。
ドォサァ!ヤンキーの体は思い切りコンクリートの地面に叩きつけられた。もちろん頭を打たないように配慮して。
「ご、ごめんなさい!急に来たから思わず技を使ってしまいました。」と、投げた本人が謝る。
大丈夫かなーとつぶやき裏路地を出ようとした時だった。
「おーい、浦松、そろそろ金取ったか?」と、ヤンキーの仲間がぞろぞろぞろぞろと入り込む。数はざっと九、十人はいるだろう。
蘭都は背中に悪寒がした。よく辺りを見回すとさっきのメガネ少年はいなくなっていた。
彼らはこの状況を見てただのひ弱そうな少年が仲間を倒したと見るだろう。間違ってはいない。しかし、蘭都は正当防衛を施行したし、また、ヤンキー君にも怪我をほぼ負わせていない、せいぜい背中にアザができているくらいであろう。
「オマエーウチの舎弟に手ェ出したってことでいいんだよな?」
「いや、手を出したって感じじゃあなくて、でも最初にエルボーしたのはこっちだからなぁ…」言葉は最後まで言い切れなかった。ヤンキーの親分のような人がどこからか鉄パイプを取り出し蘭都に殴りかかる。蘭都はそれを背負っていたリュックを鉄パイプの前に突き出す。
ビリビリとした衝撃が蘭都を襲う。
ドンドンドンドン…鈍い音が繰り返される、ヤンキーの親分は体重をもって上から蘭都を叩く。何度も畳み掛けられるうちに蘭都のガードが甘くなってきていた。
オラァ!ヤンキー親分の渾身の一撃が蘭都の左手首を捉えた。
ガン!という、嫌な音を立てる。ううう!と人助け少年は悲鳴をあげる。
その隙から親分の猛攻が始まった、腕、肩、足、胸、あらゆる場所を殴り続ける、蘭都はなんとか急所だけでも守り、逃走を図るが親分の取り巻きが寄ってたかって袋叩きにするのでそれを許さない。
「ケッ、なめやがってオイ帰るぞ。」とヤンキーたちは表通りに引き返していくのであった。
体はボコボコにされて捨てられたボロ雑巾と化している蘭都は薄れゆく意識の中で妙に冷静さを持っていた。
(これ、俺死んじまうのかな?まぁメガネ君が助かったし、うーむいいのか?)精神はまるで雑誌を眺めるような楽な状態になっていた。
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