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「えーであるからして以上で終業式を終わりにする。みんな夏休みだからといって羽目を外さないように。」校長の長ったらしいデストークがやっと終わると生徒たちは全員帰りの支度をするため教室へ戻っていく。
その中に少年君子蘭都(くんしらんと)もいた。彼は生徒の波に上手く入れずにまごついていた。
「蘭都クン」聞き慣れた女子の声が聞こえてきた。蘭都は振り返るするとそこには蘭都の予想どうり金髪の男子と茶髪の女子のペアがそこにいた。普通ならそんなメンツがいたら驚くはずだが蘭都は全く動じずに言葉を返す。
「やっぱり、大河と百合根か、てかこのやり取り必要か?いっつも後ろから二人で声かけるの。」蘭都が呆れたような顔で挨拶代わりの文句を言い放つ。
「いやいやー逆にー俺らが来たってさ一発でわかるじゃんー?そこがーいいんだよー。」と少しも悪びれた様子もなく少年、寿大河は返事をする。
生徒の数も減ってきて、三人もまた帰宅するのであった。
季節は夏真只中である。セミの鳴き声、照りつける日差し、終業式で夕方より前に下校できるため気温がピーク。夏の最悪な三拍子である。
それにもかかわらず少年少女は汗水たらして帰っていく。なぜか?一刻も早く夏休みを楽しみたいからである。
そして蘭都たちもまたそんな生徒たちの一人なのであった。
ジリジリジリジリ…炎天下の中三人は一歩を踏みしめる。
「いやーあっついなー体から汗が止まんないやー」大河はこの暑いのに意外と元気だ。
「本当よねーどっかで涼みたい訳なんだけど。」少女、山代百合根は顔をしかめているどうやらメイクが汗で取れるのを嫌っているらしい。
「どうする?ファミレスとか寄る?」
「いや、蘭都。俺はパスだなー夏休み前に余計な出費は避けたいんだー」大河がそういうと蘭都、百合根は納得した。
「そーねぇ。夏なんだよね。ねぇ結局今年の夏はどこ行く訳?渋谷もいいし、遊園地もいい、あ、やっぱりコミケとかアニメイトも捨てがたい!今期のはかなりかなりよかったし!」急に百合根のテンションが上がる。涼みたいって言ってなかったか?と蘭都は思ったが言わなかった。
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