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「いいーやー、あいや待たれい!夏といえば海、シィー、オーシャンなのだよー!!太陽の下で蒼く光るその中で輝くナイスバディーなお姉さん。やっぱり夏は海安定ー!」目を輝かせて金色の大馬鹿者は叫ぶ。
「結局アンタは胸って訳ですか…ドン引き…ってゆーか色気担当ならアタシがいるんだけど。」
「ふっふぅふ、百合根はねーまだまだお子ちゃまなんだよねー俺のストライクゾーンは二、三個上つまりー、二十歳くらいそれ以外ありえないー」暑苦しく語る大河を冷たい目で見つめる二人。なんとか言ってくれよーと突っ込む大河。
「結局蘭都クンは?どこ行きたい訳?」
「んー俺か。俺はどこでもいいかな。三人で行ければそれで。」
「なら海でお姉さんとキャッキャウフフ」
「お前はそれしか頭に無いのかよ!」やれやれと、蘭都は大河に軽く失望する。
話を続けていると駅のある大通りに出てくる。生徒の時とは比べ物にならない人の波がそこにあった。
「じゃっアタシはこれで。大河クンは今日もバイト?」じつはこの金髪頭で胸マニア寿大河はこれでも寿司屋の息子で父親の店で見習いをしているのである。
「ああ、だからここでー俺はここでードロリンチョ」大河は軽く手を振り人の波に紛れていく。
「蘭都クン、電車そろそろ来るよ。早く行こ。」百合根はそういう。しかし蘭都はそれを断る横断歩道の真ん中で往生している老女を指差して。
「悪い、ちょっとあのおばあちゃん助けてくるから先に電車乗って帰っててくれ。」と言って老女の方へ走って行った。
彼は別に山代百合根を嫌っていて離れるための口実を作った訳ではない。
ではなぜ皆が見て見ぬふりをする年老いた女性を助けようとするのか。
「結局、本当に人助けが好きなのよね。蘭都クンは。」と百合根はつぶやき改札口へと向かう。
ここに大河がいたら彼のことをこう言うだろう。『あいつは息をするようにー、人助けをしやがるーとんでもない奴だ、おばあちゃん助けたの何回目だー?』と
つまり君子蘭都は人助けを生きがいとし、人助けで生きているような人物なのである。
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