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青い空、風になびく草原、そしてそれらを見られるここは西洋風の城のテラスのような場所。しかし、そのようなレンガ造りの建物は日本ではさぞかし珍しく感じるであろう。
しかしここは日本ではないましてやヨーロッパはおろか地球ですらない。ここは、イスト王国という、地球から見た異世界の王国であった。
そこで見るからに高貴そうな衣服を纏った青年は言った。
「んーやはりここの見晴らしは
最高だね。実に清々しい気分になるそう思わないかい?」と唐突に近くにいた兵士に話しかける。兵士はそのとうりでございますと仰々しい態度でそれに答えた。
それもそのはず、彼はこの国の王子である、加えて今晩国王の座を現国王から譲り受けることになっているのであった。
まさに彼は今、人生の絶頂にいるのであった。その実感を噛みしめるように青年は再び景色に目をやる。
「あの、王子そろそろ魔法学の時間ではありませんか?サルビア様が今日こそは講義を受けてもらうと必死になっておられましたよ。」
「ああ、そうか。わかった。」と王子は兵士に生返事を返す。王子には講義を受ける気は全く見られなかった。王子は身を翻しその場を後にする。
心なしか青い空が少し曇りがかったようだった。
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