第1話 はじめての彼氏

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「マリカちゃんもユウコちゃんも、みんなかわいいなあ。俺、めっちゃ幸せやわー」   タチバナくんは関西人だった。 半年前、引っ越してきたらしい。 「ここ来てびっくりしたわー。阪神ファンがクラスで俺ひとりやで! どいつもこいつも巨人ファンだ、横浜ファンだ、言いやがる。プロ野球=阪神タイガースやろ! ホントにありえへんわー」   野球の話など興味も関心もない。ルールも知らない。 マリカはコーラをオヤジのようにグビグビと飲んでいた。 「マリカちゃん!」   ハッ、とした。 「マリカちゃんって、プロ野球どこのファンや?ミサトは阪神ファンやもんなあ」   「うん」 と、ミサトが頷く。少女マンガのヒロインみたいに瞳をキラキラさせている。
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