お鍋の中身

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珍しい… 休日、自宅の掃除や用事をすませ隣の邸宅へやって来ると音成がキッチンに立っていた。 モダンシックなアイランドキッチンで、音成が料理をする事はほとんどない。 たまに斗羽が自宅から持ってきた料理を温めたり、使った皿を洗ったりはするけれど、音成自身はほとんど使う事はない。 会社の社長として毎日忙しい音成の食事はだいたいが外で済ませてしまうらしい。 料理は意外と手間がかかる。 斗羽だって節約のためにやってはいるものの、正直あまり好きではない。 特に仕事で疲れた後なんてやりたいと思わない。 そんな日はコンビニのお弁当に手を出してしまったり、長谷川を誘ってふらりと矢田の店まで行ってしまうくらいだ。 音成が、買い物をして下ごしらえをして調理して後片付けまでする暇なんかないのは当然だ。 そんな音成がキッチンに立って鍋の中を真剣な眼差しで見つめているのだ。
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