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鍋の中でとぐろを巻いて煮込まれてる麻縄を見ながら困惑していると、スルリと背後から抱きしめられた。
音成の匂いに包まれて一瞬にして官能に引摺り込まれる。
「市販で売られている麻縄のほとんどは天然素材で植物を乾燥させたものを縄状に束ねて作ってある。製造課程が自動化されている工場で製産された縄は機械がつまらないように油やタールなんかでコーティングしてあるんだ」
音成の長い指が斗羽の上半身に絡み付く。
「まぁそういう工場で製産された麻縄は人体を縛るために作られたものではないからね。緊縛に使うには人体に有害な油やタールを煮出して落とす必要があるんだよ」
こうやって…、と耳元で囁くと音成は菜箸を斗羽に握らせ、鍋の中の煮込まれた麻縄を掴ませた。
茶色い水から引き揚げられた縄は濡れて濃い色をしている。
「消毒殺菌のためにもう一度煮沸。その後2日から4日影干しをして乾燥させる。完全に乾いたら馬油やオリーブオイルなどの油を表面に塗る」
菜箸を握っていない方の手がシャツの裾からそっと侵入してきた。
「そうすると縄が柔らかくなって肌に当たっても痛くならない」
「……ッ…あ」
音成の手がその肌の感触を味わうように撫でながら、じわじわと上に這い上がってくる。
「ッ…は…ッ…あ…ぁッ…」
もうすぐ与えられる直接的な刺激に身体が期待してひくひくと震える。
「最後に毛羽立ちを焼いて完成。これが『鞣し』だ」
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