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けれど音成の手は、わざとそこを外すように肌を撫で回すだけだ。
(触ってほしい…)
懇願するように音成に顔を擦り寄せても、その焦らすような手つきは変わらない。
「あぁ、早くこの縄で君の身体を縛りたいよ…」
ぎゅっと抱きすくめられ、斗羽の肩口に顔を埋めた音成が甘い溜息を吐く。
グツグツと煮込まれた麻縄に全身を緊縛された自分の姿を想像して羞恥と期待でたちまち股間が張つりつめた。
「……ぁッ…ふッ…」
斗羽の色濃くなった官能を音成は見落とさなかった。
いつの間にか菜箸は床に落ちていて、シャツの裾から両手が差し込まれている。
肌をまさぐられ、両の胸の突起をギュッと摘ままれると斗羽は甘い声を上げながら身体をしならせた。
「はあぁ…んッ…」
「その前に君をこのまま食べてしまいたいんだけれど、いいかい?」
音成が甘い言葉を囁きながら斗羽のデニムに手をかける。
その背中に当たる音成の熱い昂りを感じながら斗羽はコクリと頷いた。
こうしてグツグツと煮込まれる麻縄お鍋の前で音成に美味しく食べられた斗羽ちゃんでした。
end.
〈おまけ〉
「秋人さん…このお鍋…バーミキュラ…って知ってました?」
「バーミキュラ…あぁ、矢田に鍋が欲しいと言ったらそれを買えと言われけれど…それがどうかしたかい?」
日本製の高級鍋で麻縄を煮込む音成に、やはり次元の違う世界で生きている人間なんだなと改めて感じた斗羽ちゃんなのでした。
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