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静かな車内に瑞希の吐く荒い息遣いが響く。
時折、身体がシートに擦れて軋む音がますますあやしさを引き立てている。
助手席の瑞希の方へ身体を傾けてきた新城に執拗に唇を吸われながら、瑞希は息も絶え絶えに訴えた。
「…ま、まてっ…こんな場所でするつもりか」
すっかり日の落ちた海辺の駐車場は人影もなく、自販機の横にぽつんと立った街灯の灯りしかない。
真夏だったら花火を持ち寄る人やキャンパーたちもいただろうが、時期も外れているため本当に人っ子一人見当たらない。
あれから瑞希たちは近くのレストランで食事をすると、今度は空気の澄んだ山の方を走りまたこの海辺まで戻ってきた。
散々運転させたから流石に疲れただろうと思い、もう一度海を見てから帰りたいと瑞希が誘ったのだ。
もちろん、下心などは考えてはいなかった。
いや、少しは考えてはいたが…まさか車の中で始まるなんて微塵も考えていなかった。
「あなたから誘ってくれたんでしょう?」
新城は押し返そうとする瑞希の両手を握って封じ込めると、ますます身体を密着させてきた。
心地よくて官能的な香りが鼻を擽る。
甘くてスパイシーなこの香りを吸い込むと、いつも抵抗力を奪われてしまう。
「誘ってなんか…っ…あっ…」
シャツの上から胸の粒を引っ掻かれて、瑞希は思わず声をあげた。
身体は新城の放つ香りにすでに反応しているらしい。
尖った乳首が布に触れる感触だけで肌が粟立ちはじめる。
このまま身を委ねれば最高の快楽を得ることができるのだが、僅かな理性が瑞希にブレーキをかけた。
なぜならここは海辺の駐車場。
夜で人影もないとはいえ、いつ誰か来てもおかしくはない。
「だめ…っ、だめだ…っこんな場所で」
瑞希はなんとか新城の愛撫から逃れようと試みた。
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