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「私は昔、ある壮大な使命を果たす為に世界中を旅していたのです」
きらきら輝く沢山の水晶が村全体にそびえ立っていた。
どれもこれも、見上げる程のとても大きな結晶で。
「何度も諦めかけ、何度も挫けそうになり。私はあるモノにすがってしまった」
話し続ける老人の表情はぴくりとも動かない。
ただ音声を再生する機械のような、異様さがそこにあった。
「勇気の欠片」
首から下げたお守りを、老人はぼんやりと見つめてきた。
「どうやら君も持っているようだね。それは勇気をくれる素晴らしいモノ。しかし、非常に危険なモノなんだよ」
虚ろな視線が水晶に向いた。
さっきまで煌びやかに見えていたソレが、妙な違和感に包まれて。
「もう私は立ち上がる事すら出来ないんだ。周囲の不安や絶望を吸収し、欠片は塊に成長した。使命を果たせないまま、旅は終わってしまった」
きらきら輝く沢山の水晶が村全体にそびえ立っていた。
どれもこれも、見上げる程のとても大きな結晶で。
「……」
無意識に握り締めたお守りが、微かに動いた気がした。
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