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恐らく、正面から攻めたとしても、まともにダメージを与えることはできない。だとすれば、何とか奴の背後を取らないとならない。どうすれば…。さっきの感覚だと、ヤツの速度は少なくとも俺よりは数倍速い。俺にしかできない奴を上回るもの、そんなものあるはずが…。
限られた時間の中で、俺は考えられるいくつもの選択肢を虱潰しに検討していく。時間を止めても、奴には効いてない。
いや…、待てよ?これをうまく利用することさえ出来れば、もしかして…。
「どうしたのぉ?逃げてるだけじゃ、いつまで経っても遊べないじゃない?」
妖魔は、気味の悪い笑みを浮かべながら、自らのボディを両手で撫で回して惑わそうとしているようだ。
「そうか、そうやって人の行動ばかり窺ってるだけってことは、実際は大して強くはないんだろ?」
俺は、妖魔がどう出るかは別として、精神的な苦痛を与えて奴の様子を見ようと考えた。
案の定、奴はそのトラップにまんまと掛かった。
「人間風情が、わたしを馬鹿にするなど、許せない。あんたはただでは済まさない!ミイラ化するまで体中の精気をすべて吸い尽くし、体を粉々になるまで噛み砕いてあげるわ!」
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