第3話 苦境の初陣

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「ちょっと待ってくれ、それだと、空間に影響を及ぼすんじゃなかったのか?それに、魂核ってなんのことなのか、まだ、よく理解できないんだ。もっとわかりやすい説明で頼むよ。」 そうだ、専門用語ばかり並べられたところで、人間界での生活感がすべてだった俺には皆目検討もつかないのは当然の事。 「その言い回しは問題ね。無理もないわ、彼らはあたしたちの生まれる何千年も前の神々。彼らなりに伝わりやすいよう、現文化してはいるのよ。まあ、お前の頭じゃ無理だろうけど…。」 まただ、いちいち気に触る発言をぶつけてくる薺。確かに俺は、ただのサッカーバカかも知れないけど、俺の何を知っていてそんな事が言えるのか。この現状でなければ、そう言い返したいところではあったが、今は我慢することにしよう。 「時間がもったいない。あたしが代わりに説明するわ。まず次元の歪みから。歪みを修復するにあたって、あたしたちは精気を僅かずつ回収してその修復に当たるの。それには、いくつか条件がある。まず1つ目は、周囲に精気を帯びた生命体が複数存在している事。ここは、小さいながら、森が存在するでしょ。だから、小動物や昆虫、植物など、生を受けたすべてのものから少しずつ回収して修復することが可能なの。妖魔も、人間界では精気を浴び続けていないと、いずれ老いて消滅する。ここなら、生命体が複数あるから、何とか生きつなぐ事が出来たんだと推測できるわ。」
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