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するとどうだ。自分の心臓の鼓動を感じるのと同じように、体中を巡る暖かな流動を感じることができるではないか。これは、今までにはない、全く新しい感覚だ。これが、俺に命をも与えている力の根源ということなんだ。
それに気づくことができた俺は、今までとは比較にならないほどの自信に満ち溢れていた。今の俺なら、あの妖魔にも立ち向かうことができるような気がしてくる。その意気込みを胸に抱いたまま、俺は静かに、しかし真っ直ぐに前を向いて眼を開いた。
「クロノス…、いつでもいいぜ。時間の歪が広がる前に、とっとと片付ける。薺ちゃんも、ありがとう。俺、甘えてたよ。自分で未来を切り開こうともせずに、人にばかり頼っていたことに、やっと気づけた。」
不思議だ。こんな発言、俺らしくて俺らしくない。でも、こんなに何かを真剣に悩んだ事は、自分の好んでやまないサッカーですら、一度も経験がない。俺は、この道を進むために生まれたのかもしれない。そう思うと、少し身体が軽くなった。それと同時に、これからの未来について、真剣に考えなければならないと勘づいていた。
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