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大学は既に冬休み。 当日の昼。 私は昨日蘭ちゃんと買い物に行ったソレを眺めながら。 「よしっ」 可愛い小瓶を片手に気合を入れた。 料理をするからと伸ばしたことのない爪に。 ……綺麗に塗れるかな……? 慎重に慎重に色を乗せる。 『これ貼るだけ簡単、可愛いから、いいんじゃない?』 ネイルシールをちらりと見て、少し笑みが漏れた。 これは流石に蒼は気付かないかな……? 一本だけ可愛く小さめのシールを張って。 やっと乾いた両手にほっと息を吐いた。 妙に緊張したまま。 お昼ごはんはあまりのどを通らず。 準備したプレゼントの箱をじっと見た。 これは…… 帰りに少しでも寄ってもらえばいいよね。 実際置いておくのはうちだろうし…… 持っていけば少しかさばるそれを。 よしっ、 ローテーブルに置いてうなづいた。 時間に間に合うようにと思うと気がはやって。 いくらか早い時間のバスに乗る。 そしてふいに思い出した。 蓮と待ち合わせした時も、時間より大分早かった。 なんだか、根本が変わってないなと思うと。 少し苦笑が漏れる。 待ち合わせ場所に到着して。 不意に目に入った自分の指に、ますます緊張が増した。 昨日は蘭ちゃんを引きずって買い物しまくった。 基礎程度しか持っていない化粧品は。 彼女のアドバイスのもとカラフルな色が増えて。 派手になり過ぎないメイクも教わった。 長くなってきた髪も彼女に教わった通り可愛くまとめた。 今日は翼と腕の飾りは家で待機してもらって。 派手なアクセサリーの代わりに、可愛いワンピースを選らんだ。 あぁ、もう、すっごいドキドキする。 あたりは既に日が落ちて、街灯がともる。 駅裏とはいえこっち側も人通りは多く。 視線は、待ち人を探す。 あ……、 やや向こうの信号待ちに立つ姿に。 頬が染まった。 っ、かっこいい 知り合った頃から変わらない、すらりとしたスタイルに。 少しだけ凝った襟元のジャケット。 視線は合っていなかったはずなのに。 まっすぐ向かってくる彼に、少し驚いた。 「とも、悪い、待たせた」 確かに私は待ったけれども。 「ふふっ、蒼、まだ待ち合わせの10分前よ?」
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