エピローグ

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エピローグ

【お元気ですか?】  いつもの出だしを書いて、一度ペンが止まった。  今年も色んな事があったし、書けない事も多すぎる。 【もう由羅から聞いたかもしれませんが、今年も色々な事がありました。  由羅とは、卒業前に色んな事をしました。カフェに行ったり、部屋で一緒にご飯を作って食べたり、映画を見に行ったり。  卒業直前には体育館を借りて、玲央と尚人と四人で、バスケや卓球をしました。五勝三敗で女子チームの勝ちです。  玲央とは、今もよく二人でランニングや散歩をしています。  玲央は来年から選択科目で後輩に歴史を教える役割になったらしく、一生懸命勉強しています。私に模擬授業をしてくれますが、面白おかしく小ネタまで話してくれるからとても楽しいです。  尚人は最近またサッカーにはまっているようです。仲良しの友達と、休み時間までサッカーをしています。  ただ、私と由羅に負けたのが悔しいのか、バスケも始めると息巻いています。  私達は風邪一つひかず、元気です。  お二人もお体にお気をつけてお過ごし下さい】  書き終えると同時に、息を吐いた。 「終わったか?」 「うん、できた」  慧に返事をしながら、封に糊付けする。 「ならいくぞ。そろそろ清次郎先輩の引っ越し終わる頃だ」 「はーい。ジスランも行く? バルコニー」 「なら、郵便は私がお預かりしますね」 「お願いします」  春奈に手紙を預け、嬉しそうに尻尾を振るジスランを連れて部屋を出た。  新しい一年も無事に過ぎますように。  そう祈って。
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