1.評価制度

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 急ぎ足で寮に帰れば、既に談話室は準備万端。柚子特製アップルティーとシフォンケーキ、そして新入生のプロフィールが用意されていた。 「おっかえりー! いい子いた?」 「いたよ、今咲希とその話しながら帰って来たんだ、な?」 「はい。男の子二人と、女の子一人、自己紹介聞いてもいい子そうだなって」 「どの子達?」  ソファーに座り、四人頭を突き合せてプロフィール用紙をめくっていく。数枚めくったところで、まずは一人目が出てきた。 「あ、この子です。大島英二くん」 「大島英二。実家は小さな酒屋で次男。小学校の成績は算数・国語・英語が4、理科・社会・体育が5。担任からのコメントは活発で、進んでクラスのまとめ役になってくれます。趣味と特技はバスケで、小学校チームのキャプテンやってたって。俺と柚子先輩の見立てでも、A評価になってる」  慧が読み上げた。 「うん、よし決定。男の子だし慧でいいでしょ? 慧、勧誘よろしく」  柚子は親指をたてて、ゴーとばかりに告げる。 「そんな簡単に決めていいんですか」 「だって体育科行っちゃったら困るし? 慧のお眼鏡にも咲希のお眼鏡にもかなってるんでしょ? 二人のこと信じてるから大丈夫! さ、他の面子もサクサク決めてくよー」  そんなこんなで勧誘する新入生七人は、あっという間に決まった。
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