1.評価制度

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1.評価制度

 小さなシャンデリアが輝く部屋で、少女は姿見の前に立っていた。高級感ある白の鏡に映るのは、三年前よりだいぶ大人びた姿だ。  ストライプ柄のシャツに薄ピンクのカーディガン、指定のブレザーを羽織って、下はチェック柄のスカートとグレーのハイソックス。最初は似合わなかった少し高さのあるローファーと色付きリップグロスにも、もう違和感はない。  最後にペンダントとブレスレットをつけて、もう一度鏡で自分の外見を確認する。 「うん」  ――大丈夫。少なくともマイナス評価にはならない筈。  頷いたところで、開け放した重厚感ある木製のドアから大好きな先輩の声が聞こえてきた。 「行くぞー」 「はーい! ジスラン、行ってくるね」  ジスラン、と呼ばれた犬はワン、と一声してそれに応える。ジスランが座っているのは三人掛けの革製のソファー。その上の置かれた巨大なクッションが最近の特等席だ。  部屋には他にもドレッサーや靴箱、ソファーサイドテーブルにクローゼットといった家具が並んでいる。その全てが白で統一されていて、何かしらの装飾がなされてる。  学生には不釣り合いなほど、豪華な部屋だ。でも、これもほんの一室に過ぎない。他に寝室とリビング、ミニキッチンと洗面所があり、奥には一般家庭と変わらない大きさの風呂までついている。  そんな部屋の主である少女は、大きく尻尾を振る愛犬を一撫でして、階段を駆け下りた。
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