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「それはお前が悪いわ」
長い付き合いの友人に相談したところ、三十秒のシンキングタイムを経て、すっぱりと言われた。
「でも、好きなんだよ……」
「嘘を吐けとは言わないが、なんでもかんでも正直に言やぁいいってもんじゃないだろ……」
彼女のことは好きだ。でも彼女は好きじゃ満足しない。
嘘を吐くのはよくない。でも正直過ぎてもいけない。
どうしたらいいのか分からなくなっていると、友人が肘をつきながら僕を見た。
「ってか、その前によぉ」
「?」
「お前、本当にその彼女のことが好きか?」
友人に、疑うような目つきをされた。心外だ。
「好きだよ、大好き。じゃなきゃ、付き合わないよ」
「じゃあ、彼女のことを愛しているか?」
友人にそう言われ、僕は頭を内部からガンと殴られたような気分になった。
愛する。やっぱりそれが、何かの鍵なのか。
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